アウロラ・オプティマのブラックパールという油性ボールペンの特異点

既に画像では何回か登場していますが、実は我慢できずにアウロラ・オプティマ油性ボールペンのブラックパールを購入してしまいました。

文具ライター小日向京さんが高く評価するボールペンであり、ちょっとした工夫によって、カランダッシュのゴリアット芯も装着できます。

私はこのボールペンを文豪ストレイドッグスというマンガの登場人物にちなんで「太宰治」と命名しましたが、マンガ顔負けに特別な個性を持っています。どこでも利用可能な落ち着いた雰囲気なのに、スケルトンのような庶民的親しみやすさも備えています。

今日はそんなブラックパールを紹介させて頂くことにします。

子供でも持ちやすいサイズと太さ

冒頭画像でボールペンを握っているのは、先日三途の川を漂った10歳児(10歳と3ケ月)です。危険を察知する能力が未発達であるにも関わず、なぜか危険だと言って私に「太宰治」を使わせてくれません。

アウロラのオプティマは、既に「フィッツジェラルド」もといジュエリーコレクション(ソリッドシルバー)や「江戸川乱歩さん」(グリーン)を紹介していますが、基本的には変わりません。マイスターシュテックよりも若干太めですが、書き易さは殆ど変わりません。重さも殆ど同じ(24g)です。

もちろん私自身はモンブランのマイスターシュテュックがベストバランスですが、だからといって何本も胸ポケットに入れる訳には行きません。取り出そうとした時には、モンブランPIXやアウロラ・オプティマの方が区別しやすいので助かります。

ちなみに今日時点ではいつも通り、マイスターシュテュックのクラッシック・ゴールド(T.Yoshinagaさん)が鎮座しています。替え芯(リフィル)は、カランダッシュのゴリアット芯です。先の記事のように改造することによって、装着可能となっています。

ブラックパールはスケルトン

アウロラのオプティマの中でもブラックパールを特別な存在としているのが、その色合いです。

江戸川乱歩さん(グリーン)は「趣味の文具箱」編集部による「世界のペンブランド」という本の紹介でもPRされているように、ボディ(軸)の内部は見えません。

小日向京さんのブラックパール紹介では、「深海で見つけた未知の石のような、牡蠣の一生を表したような、岩塩の旨みを感じさせるような。」と説明なさっていますが、確かに岩塩のように「透明」なのです。

小日向京のひねもす文房具|第四十七回「万年筆シリーズのボールペン軸」

これはプラスチック芯の三菱ジェットストリームを装着するために、黄色の付箋紙で替え芯(リフィル)を自作した時に判明しました。

この通りで、黄色がはっきりと見えます。アウロラの職人さんが見たら、泣くかもしれません。

しかし逆に見ると、これは実用的だと言えます。ブルーの時に水色の付箋紙、黒色の時は黄色、赤色の時にはピンクの付箋紙を使えって替え芯(リフィル)を作成すれば、何色の芯が入っているのか一目で分かります。

スケルトンな高級ボールペンというのは珍しいので、特異点でなれば「珍種」と呼んでも構わないかもしれません。

カランダッシュのゴリアット芯

アウロラはパーカー互換芯(G2芯)を利用しています。それもイタリア製なのか、若干ペン先の穴に余裕を持たせているようです。このためにカランダッシュのゴリアット芯を、余裕で利用することが出来ます。

ちなみにペン先の穴の余裕は相当あるので、透明マニキュアでは厚みが不足します。セロテープを巻きつけて替え芯(リフィル)とペン先の穴の差を補う必要があります。

それからカランダッシュのゴリアット芯は、パーカー互換芯よりも若干短いです。だからこそアウロラのオプティマに装着することが出来ます。ちなみに私の場合、ガムテープを何枚か重ねたものを替え芯(リフィル)長の調整に利用しています。

変な切れ目が入っていますが、これは空気を通すための通風口です。これがないとタンク内のインクが減っても空気が入って来ないので、インクフローが止まってしまいます。「空気穴」の確保は、プラスチック芯や4C芯のジェットストリームでも同じです。

ただしこの点さえ注意すれば、いろいろな替え芯(リフィル)を楽しむことが出来るようになります。

手帳と一緒の持ち歩きは不向き

最近は前田裕二さんの「メモの魔力」にハマっていますが、メモを取るには筆記具が必要です。人によっては、一緒に持ち歩くことになります。

前田さんの真似をしてモレスキン(ラージ以上)を持ち歩く場合、筆記具はノートに付けて持ち歩きたくなります。

例えば前田さんの上司とでも言うべきDeNA代表取締役の南場智子さんは、モレスキンのポケット版に近いA6サイズの手帳のようですが、インタビュー写真の全てには、必ず筆記具も一緒に写っています。(日本能率協会マネジメントセンター(編)「手帳200%活用ブック」から引用)

彼女と同じこと(端に引っかけること)をやろうとしたら、モレスキンだとモンブラン・ジェネレーションのよな水平型クリップが欲しくなります。もしくは、ファーバーカステルのように移動可能なクリップで、ゴム紐のあたりに引っかけるという手段でしょうか。

残念ながらアウロラのオプティマはクリップの先端が球状になっていて、手帳と一緒に持ち歩くのには、あまり向いていないようです。

そういえば余談になりますけど、「手帳200%活用ブック」では、インタビューに登場する数名のうち2名が、マイスターシュテュックの万年筆やボールペンを利用しています。さすが、「ザ・定番」といったところでしょうか。

余談:「惚れぼれ文具」の謎

そういえばアウロラのオプティマを高く評価する小日向京さんですが、惚れぼれ文具(使ってハマったペンとノート)という本を執筆しました。

この本ではオプティマは登場しませんが、マイスターシュテュックが登場します。

ところでそれらの話はさておき、一つだけこの本で不思議に思っていることがあります。(相棒の杉下右京さん口調)

それは小日向さんが、右手で筆記具を持っている点です。

「小日向京のひねもす文房具」でも言及されていますが、彼女は数年前に利き腕(右手)で文字を書くことが出来なくなりました。そのために左手を鍛え、左手で文字を書くことが出来るようになりました。

「巨人の星」という野球マンガの星飛雄馬は、右手で投球できなくなったために左投手に転向しました。並々ならぬ努力で実現したのだそうです。同じように、小日向さんも大変な特訓をしたのだそうです。

しかし「惚れぼれ文具」に目を通すと、右利きで不自由していないように見えます。実に不思議です。

アウロラのオプティマとは関係ないですが、彼女も著書でカランダッシュのゴリアット芯を高く評価していることでもあるし、つい気になって言及してしまいました。

機会があったら、ぜひご本人に話を伺ってみたいものです。

まとめ(なかなか個性的)

それにしてもオプティマのブラックパール、オプティマで唯一のスケルトンモデルとも言えますし、さすがは「世界のペンブランド」でも紹介されている筆記具です。

さてこのブラックパールがこれからどんな人生を送ることになるのか。

なんとなくお嬢様に奪われてしまいそうな気もしますが、「太宰治」効果があるうちは大丈夫でしょう。今のうちに、存分に使わせて頂きたいと思っています。

それでは、また。