【筆記具の贈り物レビュー】神戸の万年筆屋の店長さんはファーバーカステルのエボニー

さて先日は神戸の万年筆やPen and messageの店長さんも使用なさっていたファーバーカステルのギロシェを紹介した。

https://www.note1005.com/?p=307

これを書いた直後、実はキングダムノートさんにエボニーではないけれども、中古並品のグラディナラが入荷した。

無駄遣いは良くないと思いつつも、つい誘惑に負けて購入してしまった。物理的な形状や重量は、ご覧の通りガリレオ湯川学教授のファーバーカステル伯爵コレクションのアネロ(エボニー軸)と同じである。

しかしどうも勝手が異なる。本日は購入の顛末から、つらつらと語ることにしたい。

これが正式には”GRAF VON FABER-CASTELL (グラフ フォン ファーバーカステル) ボールペン クラッシクコレクション グラナディラ プラチナコーディング”と呼ばれる、伯爵コレクションのグラナディラである。

実は良く見ないと、グラナディラ(アフリカ黒檀)はエボニー(黒檀)を区別するのは難しい。だから廃番になってしまった湯川学モデル(エボニー軸)でなく、グラナディラ軸で十分だと思えるようになった。木自体の評価は、どちらも高評価である。

冒頭には4本のファーバーカステルが比較用に並んでいるけれども、ペン先の細いのは映画ダヴィンチコードでトムハンクス演じるロバートラングドン教授が使っていた、エボニー軸のシャープペンシル(メカニカルペンシル)である。

実は画像で区別が難しいように、二本並べないと区別できないことが多い。グラナディラ(アフリカ黒檀)だけあって、本当に濃い茶色である。

ちなみに今回の材質の相違に全く興味のないMikanお嬢様に伺ってみたが、違いがお分かりにならなかった。

メモカードに1-2分ほど落書きした後、「シャーペンとボールペンは分かるけれども、どれだって書き安いのに、なんで何本もボールペンを買うの?」と追及を受けてしまった。

廃盤になった湯川学先生モデル(エボニー軸)を何年も在庫として残しているお店から購入するのも悪くはないけれども、販売継続中のアネロでグラナディラ軸を購入した方が賢明だとも思えるようになった。

ちなみにどうしても湯川学先生のエボニー軸が欲しい方には、かなり良いお値段だが、実はまだ在庫も残っている。(2019年1月18日時点)

なぜここまで筆記具に拘るかというと、手に持った時の感覚が全く異なるからだ。どちらも手にしっくりと馴染む。ただし私の感覚だと、一体形成の方が鉛筆的な筆記具を持っている感覚になる。

映画ダヴィンチコードの影響もあって、気分はロバート・ラングドン教授(トムハンクス)である。(さらにいうと、私は昔から彼のようなジョッターという “メモカード挟み” まで使っていたりする)

“アネロ” か “一体形成” のどちらを選ぶのかは本当に悩ましい。私はエボニーとグラナディラが外観に殆ど差はないので、アネロ(エボニー軸)も遠慮なく使う気になってしまった。

なぜなら「文房具は引き出しの中に眠っていては意味がない、使ってこそ価値がある」というのが私の考え方である。これは7万円の筆記具を落とした後でも、全く変わらない。

自動車を一台購入するのに比べたら、安いものだ。それよりも快適に仕事出来る方に価値がある。

さてそういう訳でズッシリとした質感のあるグラナディラだけれども、アネロ(エボニー軸)と同様にバランスが良い。そしてギロシェ同様、芯を出した時にベストバランスが取れるようになっている。

いずれも実に使い勝手が良い。

ちなみに神戸で有名な万年筆屋の店長さんは、エボニー軸がお好みなのだそうだ。

“シンプルで装飾が一切ないのに、カステルらしいデザインを持っているところはさすがだと思いますし、そのデザインであるだけで使ってみたいと思わせる魅力があります。ギロシェに比べると7gほど重くなりますが、デザインが伸びやかな感じがします。”

特に万年筆に慣れた人には、お気に入りの一本になれるかと思う。ちなみに筆圧を軽くして、書き味を万年筆に近くしたい人には、デュポンディフの芯を使うと良いだろうとのことだ。

さて今回入手したエボニーしてもグラナディラにしても木軸なので、使い込むことに変化していくのだそうだ。

“エボニーは同シリーズのペルナンブコに比べて、使い込んで色変化してくれる素材ではありませんが、少しずつつやを増してくるのは確かです。” とのことである。

ちなみに彼も評価しているが、ファーバーカステルの伯爵コレクションは、クリップの部分がバネ式になっている。服地を傷めないようにという配慮なのだそうだ。大いに評価できる姿勢だ。

ちょうどモンブランのスターウォーカー(世間的なランキングは大変に高いですな)の代わりがあると嬉しいところだったので、長く活躍してくれそうだ。

ともかく使い勝手は良いし、何より書いていて、楽しい。これが一番だと思う。