[湘南日記] 金星ではなくネットで勝負して、来年の忘年会幹事となった父ちゃん

冒頭画像はペリーローダンというドイツのSF小説だ。ペリーローダンは某国の宇宙飛行士であり、初めて月面に着陸した。そこで遭難したアルコン人と遭遇し、その超科学の力を借りて地球を統一し、最終的には太陽系帝国を設立する。

ただしアルコン人のアルコン帝国は、歴史ある強大な星間帝国である。その末端勢力に対しても全く勝負にならず、ペリーローダンは滅亡を偽装して時間を稼ぐことを試みた。

そして地球は数十年に渡り、宇宙人たちに知られることなく発展を遂げ、幾つかの恒星系を束ねる国家となった。そんな時に唐突に登場したのがアトランである。

実はアルコン人は1万年前に太陽系に植民を試みた時期があり、その時にアルコン皇帝の甥として指導者だったのがアトランである。地球は訳あってアルコン帝国から忘れ去られてしまい、アトランも一人だけ島流しになってしまう。

アトランは老化を止める細胞活性化装置の持ち主で、1万年に渡って密かに地球人の技術発展を支援し続けた。しかしペリーローダンが地球統一に乗り出した時に核戦争が発生したと勘違いし、海底基地に引き籠って深層睡眠で数十年の眠りについていた。

宇宙人に見つかりたくない太陽系帝国に現れたのだから、大騒ぎになる。アトランは宇宙船を手に入れてアルコン帝国へ帰ろうとするが、そんなことをされたら太陽系帝国は困ってしまう。ペリーローダンが陣頭指揮を取り、アトランを捕まえようとする。

宇宙飛行士になるくらいだからペリーローダンも優れた能力の持ち主だが、アトランだって負けていない。一度は無敵のペリーローダンに勝利してしまった。そして金星での決闘を経て、二人は表裏一体の関係となる… 長いプロローグだった。

さて高校部活のOB会が長く続いているけれども、それには訳がある。忘年会に顔を出すのは数名になってしまったけれども、メーリングリストといったIT技術を駆使して、ゆるく連絡を取り合っている。
そういったことに長けているのが、A君である。

ただしAは多忙を極めており、時には管理業務がトド… 滞ってしまうこともある。そんな時にフォローに乗り出すのが、僕だったりする。彼ほどではないけれども、僕もIT技術者である。時には僕がメーリングリストを運用した時期もあった。

最近だとZoomでのオンライン忘年会がある。彼は仕事でZoomを使っているけれども、僕もマンション理事長としてZoomを導入した者だ。彼ほどではないけれども、忘年会くらいは造作ない。

2022年の忘年会も、最初に口火を切ったのは僕だったりする。そしてAはいつものように、自分がZoomの準備などを実施すると宣言した。

この時は大丈夫かなーと思って口火を切ったのだけれども、「ワシがやる!」と断言されてはどうしようもない。皆もそれに賛成し、彼が幹事をすることになった。

が、12月に入って、雲行きが怪しくなって来た。
「代替ホスト募集!」というメールが、いきなりメーリングリストで流れて来た。体調が思わしくないのだ。在宅でのオンラインZoomミーティングでさえ、忘年会の時に参加するのが危ないらしい。
そうでなけば、代替ホストなど募集しない。

もちろん僕が代替ホストになることが決まった。しかしAは、僕を代替ホストに指定することが出来なかった。
「まだ忘年会に参加登録されていないようで、代替ホストに指定できなかったー」である。
むむむ。

実は彼が代替ホストに指定しようとした時、既に僕は忘年会への参加登録を済ませていた。
いや、実は参加登録を済ませてから、代替ホストを引き受けることにしたのだ。
そのように説明もしたつもりだった。

僕が説明下手であることは甘んじて認めよう。しかし日頃のAは、そこら辺を的確にキャッチしてくれる。それが今回は、どうも今一つ反応が的確でない。

こりゃ、相当マズい状況らしいな。
僕も経験があるけれども、逆流性食道炎というのは結構辛い。体調が良くないと、胸がムカつくとか、変な圧迫感があるという程度では済まない。
本当に痛むのである。
親父も逆流性食道炎に苦しみ、座椅子を買って昼寝や食休みをしていた。

どうもマズい … そう感じたので、久しぶりに、Zoomへログインして試行錯誤してみた。
Zoomの説明によると、代替ホストとなるには二つの条件を満たす必要があるとのことだ。

  • 同一アカウントであること
  • 有料の契約ユーザであること

「無料の契約ユーザでも大丈夫だと思うよ」とのことだが、そのような説明はどこのWebサイトにも存在しない。頑張って何とか一か月だけ有料ユーザになる方法を見つけて、自ら有料ユーザになって代替ホストを試してみた。
しかし… 僕の場合は説明通りのZoom動作にしかならない。
それに同一アカウントの条件、どうやってクリアする?

で、ここら辺の情報収集とAとのやりとりをして、何となくわかって来た。
Aがちょっと特別なアカウントの契約ユーザなのである。
だから同一アカウントであれば、無料契約ユーザも代替ホストに指定できたのだ。

僕は設定変更をせず、アカウント(組織)を当マンションの管理組合にしていた。それはいつでも変更可能だ。
「それって管理組合の関係で勝手に変えるのはマズのでは?」と言ってきた。
「いや、マズいのは君じゃないのか」というのは差し控えた。注意深く尋ねてみたら、やはりAはアカウント変更できない契約だった。

いや、僕は自転車サークル会に使うかもしれないと思ったけれども、忙しくて手が回らないというだけに過ぎない。マンション管理組合のように、うまく軌道に乗ったら管理組合として正式アカウントを立ち上げるということもできる。

つまり当面は小野谷静ファンクラブというアカウントにしても構わないのだ。
家人、子供、僕の三人だけであっても、ファンクラブは成立する。実際に少ないながらもファンレターなども頂戴するし、Zoomの組織という定義を満たすことが出来る。

そんな訳で本当にアカウント変更してしまった。

「わざわざ金を払うのはモッタイナイ」とAは言うけれども、一か月の支払いに過ぎない。漱石さん2枚程度で済む。それよりも確かに情報交換という名目は立つにせよ、仕事用のアカウントを高校OB会に使うのはコンプライアンス的に問題ないんだろうか?
うーん、最近のAを考えると、少し心配になって来る。

僕の会社はコンプライアンスでは容赦のない存在だし、僕も財布の紐はゆるい。あぶない橋は渡りなくないから、一か月の支払いをやった方が気が休まる。
うーん、やっぱりAが心配になって来る。

たしかに僕の金銭感覚はぶっ飛んでいるけど、その分だけストレスはない。
こういった漱石さん二枚でも節約しようとする性格だから、Aは体調を崩してしまうんじゃないだろうか。たしかにITシステムの管理者に正確さは必須条件だけれども、それが本人に負担をかけてしまっているような気もして来る。

で、あーだ、こーだとやっていて、ようやく来年は僕がZoomホストをやるということで落ち着いた。
だって僕はいつでもアカウント変更可能だし、オーナーだから自由にできる。そして僕らは彼のアカウントに加わることはできないし、彼はアカウント変更することが出来ない。

そんな訳でアトランこと小野谷静は、珍しくペリーローダンを負かしてしまったのだった。
いや、負かしたというよりも、Aが自滅しているという状況である。
ちっとも良いことはない。
「善人は長生きしない」の典型例になってしまいかねない。

そういえば家人はエレベータでなく階段を使うように説得できたけれども、Aには成功していない。
家や職場以外で何かに触るのが恐いというので、「だったらエレベータ内では息を止める… 階段を使ったら」と言ってみたけれども、効果がない。
Aの場合、運動も大切なんだけどなあ。
まさにヤレヤレである。
さて来年のZoomホストは解決したけど、次はどうやってAのストレスを少しでも減らすか… なかなかムズカシイ。
気軽なネットウォーカーで済んでいた昔が懐かしい。

あんまり家族には心配かけない方が良いと思うぞ、Aよ。
ちなみにAはボールペンを失くすことが多いので、事務用ボールペンを使っているとのことだ。今まではおおらかな彼らしいと思っていたけれども、もしかしたらストレスだったりしないかとも心配になって来る。

それでは今回は、この辺で。ではまた。

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記事作成:小野谷静