ボールペンを2本以上持ち歩くのは、紳士淑女の嗜みであるという話

父親が「慢性クモ膜下出血」、俗にいう脳卒中で倒れました。

ちょうど誕生日なので早朝にメールしたけれども、いつもと違って返信が来ませんでした。何か忙しいとか事情あると思ったら、いきなり2時間後に緊急手術するという電話連絡が入って来ました。

こういう時には日頃の行いが大事なようで、ボールペンを何本も持ち歩いていることが心の支えとなりました。

幸い命に別状はないということで、さっそくどうしてボールペンが役立ったのか報告してさせて頂くことにします。

邪魔になるコート類

さて今日は昼過ぎから、急に暖かくなりました。

ようやく春の陽気が戻って来たところです。病院の中へ突撃です。暑いのでコートやジャケットはおろか、ベストまで脱ぎました。

おまけに父親に同伴していた母親は、オシャレ心で帽子を被って来ました。当然ながら病院の中では着用しないので、それを持ち歩くのも私の仕事です。

カバンを開けて、中からペンケースを取り出すような余裕は全く無かったです。冒頭画像のように、いざという時のボールペンを取り出すのが精一杯でした。

何枚もの書類へ記入

さてそんな状況の中、真っ先にするのは手術への同意書や問診票を始めとした、何枚もの書類への必要事項の記入作業です。

正式な病院への入院手続き書類への記入は、まずは後回しです。

何でも意識障害が3レベルだけれども、ともかくさっさと手術することが望ましいとのことです。

こういう時は猫の手も欲しいということで、母親にはYシャツの胸ポケットに刺していたモンブランのボールペンを渡しました。

そして私は冒頭画像のようにカバンに収納していたクロス・タウンゼントを取り出し、二人がかりで書類記入を進めることになりました。

米国からのお客様と打ち合わせする必要が生じた時のためと、カバンにクロス・タウンゼントを収納していたのは正解でした。

現実問題として母親は気が動転しており、書類に記入することは出来ませんでした。しかし高級な筆記具というのはありがたいもので、持っているだけで仕事しているような気分にもなっていました。

そしてこれが、心の落ち着きをもたらしてくれたようです。あらためてその効果に驚かされました。

モレスキンXS万歳!

書類への記入が終わると同時に、今度は執刀医の先生から説明を受けます。

ここでは最近Yシャツの胸ポケットに常備するようになっていた、モレスキンのXS(エクストラ・スモール)が役に立ちました。

何しろ狭い空間で、既に執刀医は少しでも早く手術しようと、私たちを待ち構えていました。カバンを開いてモレスキンのポケット版を取り出す余裕もなければ、すぐに取り出せるモレスキン・ラージノートを開くようなスペースは確保できません。

思わず、「小さいことは正義!」を実感した瞬間でした。

いざ出術

そして、いよいよ手術です。

ここでは文房具が何かをすることはありません。ただ手術室に入って行く父親を、TVドラマのように手術室まで付き添って行くだけでした。

ちょっとTVと違うのは、「手術中」を示すためのランプ点灯がないことでしょうか。

これは考えてみれば当然で、病院としてはどこで何をやっているかは把握済みだから、わざわざランプ点灯する必要は無いのです。

たしかに「手術室」が手術中に点灯すればカッコイイですけど、本当に点灯させる必要があったら、ランプ切れの時には大至急で交換する必要が生じてしまいます。TVドラマは現場を忠実に再現するけれども、違う部分もあるのだと、妙な部分で感心してしまいました。

3本目ジェットストリーム

さて書類へのサインで無難なモンブラン・マイスターシュテュックとクロス・タウンゼントですが、落ち着いてメモを取る作業には向いていません。

これはアウロラ・オプティマのソリッドシルバー(別名:フィッツジェラルド)と、装着された三菱ジェットストリーム0.5mm替え芯(リフィル)の出番でした。これで緑や赤色も使うとなると、たしかに四色ボールペンを愛用する人が多いことも頷けます。

そういえば「メモの魔力」の前田裕二氏も、四色ボールペン(ただし替え芯は三菱ジェットストリーム)を使用しているとのことでしt。

まとめ(豊富は正義!)

さて手術が終わった父親は、「借りて来た猫」のように大人しかったです。

開口一番、「どうして俺は病院で寝ているんだ?」では、たしかに大騒ぎすることも出来ないでしょう。

明日は手術も終わって思考力が回復し、アレコレ言って来るような予感がします。

それにしてもモンブランのマイスターシュテュックとクロスのタウンゼントに、在来型のインクを装着しておいたのは正解でした。まさか母親と一緒に書類作成に勤しむとは予想していませんでした。

と、言う次第で、とりあえずまずは一段落しました。

それにしても改めて、豊富な選択肢から状況に応じて対応できるように、何本ものボールペンを持ち歩いていて正解でした。

特ににモンブランは、本当に書きやすくて良かったです。自分では認識できなかったけれども、神メンタルのように安心してはいないのだから、こういう時はイチローのように、お決まりの動作を淡々とこなすのが正解のようです。

ともかく無事に手術が終わって多かったです。

あとは野となれ山となれ。

悔やんでも病気が無かったことには出来ないのだから、ノートを使って「メモの魔力」のように心の中を少しでも整理して、これからに備えたいです。(まだ初日なので、あと1週間以上は入院する予定です)

とりあえず今日はこの辺で。

それでは、また。