シャープペンシル

ファーバーカステル伯爵コレクションの使い心地(シャープペンシル編)

伯爵コレクションのシャープペンシル

高級鉛筆と関係するアイテムとして、シャープペンシルのファーバーカステル伯爵コレクションが存在する。僕が持っているのは0.7mm芯のエボニー軸だ。使い心地は、「実用的ではないけれども、最上の使い心地」という伯爵コレクション独特なレビュー結果となっている。

高級鉛筆や色鉛筆で有名なファーバーカステルだけれども、僕のファーバーカステル歴は伯爵コレクションから始まっている。魅力を語ることが難しい「あの伯爵コレクション」の洗礼を、真っ先に浴びてしまった訳だ。

クロス歴20年には及ばないものの、そこそこの思い入れがあるのがファーバーカステル伯爵コレクションだ。そこで今回は闇の文具王の入口ともなった、ファーバーカステル伯爵コレクションのシャープペンシルを紹介させて頂くことにする。

(お嬢様が子供の頃にファーバーカステルの色鉛筆を購入したけれども、まさかこんなシャープペンシルまで製品化しているとは知らなかった。ともかく高級筆記具においてもファーバーカステルは特筆すべき存在なのだ)

購入理由

伯爵コレクションのシャープペンシルを購入した理由だけれども、ハッキリ言って「ミーハー心」の一言に尽きる。ボールペン軸はガリレオ湯川学を演じる福山雅治がキッカケだったけれども、シャープペンシルは映画ダビンチ・コード主演のトム・ハンクスが利用していたことがキッカケだ。

映画の中でトム・ハンクスが利用すれば、何でもカッコ良く見える。彼はスタンフォード大学のロバート・ラングドン教授を演じており、モレスキンのポケット版ノートやジョッターなどに伯爵コレクションでメモを取っていた。映画の中での知的な雰囲気は、誰もが印象的に感じたことだろう。

伯爵コレクションのシャープペンシル

そして伯爵コレクションのシャープペンシルは、単なるメモ道具に留まらない。なんと謎の機器を操作するのことにも使われる。クリップを伸ばしてリセットボタンを押すように、この槍の先端のように尖った部分でボタンを押すのに使ったりする。

もちろん思考を整理するツールという役割には及ばないけれども、道具としても役立っている。高級文房具が筆記以外に使われるのは珍しいけれども、それも伯爵コレクションの実用性を無視したデザインのおかげと言えるだろう。

そして筆記具としても、アチコチで活躍している。おかげで暗号をメモするのに使われた時など、思わずトム・ハンクスがどのように伯爵コレクションを握るのか分析してしまった。

伯爵コレクションは価格においても最高峰なので、僕のように本当に買ってしまった者が稀だろう。しかしトム・ハンクスの演技と伯爵コレクションのデザインには、「実際に使ってみたい」と思わせる迫力が宿っていた。

使い勝手

さて使い心地に関しては、「実用的ではないけれども、最上の使い心地」といった意味不明のコメントになる。ともかく結論から言うと、僕は伯爵コレクションのシャープペンシルを持ち歩いておらず、ボールペン軸の伯爵コレクションに鉛筆芯を装着するような真似もやっていない。

つまり長期的に仕事の効率をアップする効果は、他の筆記具に及ばない。ただし使う時には、最高の使い心地を発揮してくれる。それは「実用性を無視したデザイン」から生じる満足感だけではない。

実際に手に取って書いてみると分かるけれども、30gを超える重さのおかげで「コツコツ」という書き心地になる。最新シャープペンシルが装備するクルトガ機能はおろか、芯がバネに押されたように戻る機能さえ備えていない。

ツイスト式で芯を繰り出す機構だし、耐久性は高くない。クリップ部分はクッション式になっていることを誇っているけれども、今では国産シャープペンシルでも太軸系で導入されている。

そして槍の先端のように尖っているために、手で持つ部分とペン先が恐ろしく離れている。モンブランのスターウォーカーのような太軸化によるコントロール性向上の真逆を突き進んでいる。つまり精密なペン先のコントロールが難しい。

以上の説明から、誰がどう見ても使い心地も悪いと想像されるだろう。しかし現実は、決してそんなことはない。

精密なコントロールが出来ないから、内容勝負となる。長時間は使えないし、自然と考えた後でペン先を動かすようになる。コツコツという感覚は、脳に新鮮な刺激を与えてくれる。

ちなみにコツコツという感覚は、トム・ハンクスのようにエボニー端を三本指で掴んだ握り方をした時に生じる。僕は40度くらいで筆記具を扱うことがあるけれども、その時には「自然な持ち方」となる。そして40度の時には、ペン先が離れていることは伯爵コレクションの先端くらい離れている方が当たり前となる。

そしてペン先が離れていれば指先が見えなくなり、自然とペン先だけに集中するようになる。この40度まで寝かせて使う技は、万年筆か鉛筆芯にしか出来ない芸当だ。たとえ低粘度だろうがゲルインクだろうが、ボールペンには真似できない芸当だ。

だから使い始めると、実は使い心地は恐ろしく良い。ともかく「あっ、俺は筆記具を使っている!」という感覚がスゴイ。おかげで精神が研ぎ澄まされてくる。

だから雑用の多い日常業務、特に速記が必要となるメモ取りなどには全く向いていないけれども、アイディアを練る時などには大活躍してくれる。途方にくれた時には、もしかしたら最も役立つ筆記具かもしれない。

これらをまとめると、伯爵コレクションのシャープペンシルは「実用的ではないけれども、最高の使い心地」という理解困難な表現になる。もちろん今でも、お小遣いを全て投げうって購入した価値はあると思っている。

(こう思わせてしまうあたりが高級筆記具に通じた、ファーバーカステル伯爵コレクションのすごいところだろうか。鉛筆とは一線を画している)

まとめ

以上の通りで、ファーバーカステルの伯爵コレクションはデザイン的に秀逸なことに加えて、「実用的ではないけれども最高の使い心地」という妙なレビュー結果になる。高級筆記具というのは、本当に奥が深い。

頑張って表現してみたけれども、この手の常識を外れた存在を正確に伝えるのは難しい。しかし道具がインプットやアウトプットに影響するので、昔から筆記具に拘る文豪は多い。

アイディア勝負のコピーライターなども、わざわざ0.9mm硬度2Bのシャープペンシルを使ったりする。筆記具に拘らずに存分の成果を出せる人は、本当にすごいと思う。こういった知見も参考になるだろうか。

それでは今回は、この辺で。ではまた。

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記事作成:小野谷静