3万円を超える高級鉛筆… ファーバーカステルのパーフェクトペンシル

高級鉛筆というと、文房具関係者ならば誰でも連想するのがファーバーカステルのパーフェクトペンシルだ。今回紹介するプラチナコーティング伯爵コレクションだと3万3千円という価格が、ファーバーカステル社のパーフェクトペンシル紹介ページに記載されている。(2021年11月14日現在)

こういう鉛筆を使っていると、「提督」などと呼ばれてしまうこともある。しかし文房具の道に入ってしまうと、「数千万円を高級自動車に費やすことに比べたら、高級文房具などかわいいものだ」と、眉一つ動かさなくなる。

そしてある時、我に返って後悔する。つくづく文房具とは、本当に恐ろしい世界だと思う。

今回は海軍司令長官にお会いする時にも持参した、高級鉛筆ファーバーカステル伯爵コレクションのパーフェクトペンシルのうち、プラチナコーティングモデルを紹介させて頂くことにする。

鉛筆軸

パーフェクトペンシル伯爵コレクションのベースとなっているのは、パーフェクトペンシル9000番である。世界最古の鉛筆メーカーを誇るファーバーカステルにおける看板商品だ。

いかにもドイツの鉛筆らしく、書く時に妙な引っ掛かりを感じる。まさに鉛筆らしく、「カリカリ」と引っかくような感じに近い。日本人に違和感があるけれども、慣れてくると「ザ・鉛筆」と呼びたくなる書き心地だ。

パーフェクトペンシル標準の鉛筆高度は “B” だ。日本の鉛筆だと “F” 相当と感じる人が多い。ぼくも同感だ。このF相当の標準鉛筆が、パーフェクトペンシルでは付属品として提供されている。

このパーフェクトペンシル9000番でも十分に高級鉛筆と言えるけれども、伯爵コレクションの鉛筆軸では磨きがかかっている。鉛筆一本あたりで2021年11月14日現在、国内販売価格が1,000円を超えている。

高級鉛筆では当然だけれども、芯と木軸が接着剤で強固に固定されている。ちなみに木はカルフォルニア杉で、フルート加工を実施されている。直径は7mmと、日本製の鉛筆や9000番よりも太い。

手に持った感じは、「恐ろしく軽い」に尽きる。太さにも関わらず、三菱鉛筆ハイユニよりも軽いような感じだ。おそらくカルフォルニア杉ということもあるかもしれないが、無愛想な外観が心理的に大きく影響しているのかもしれない。

それにしても7mmという外径は嬉しい。僕は本職がITエンジニアなので、最近はメモを取る機会が減っている。筆不精で、筆記具のコントロール力が劣化している。

モンブランのスターウォーカーやファーバーカステルのイントゥイションといった高級ボールペンに代表される太軸は、そういう者にも優しい。このパーフェクトペンシル伯爵コレクションも高級鉛筆のハシクレだけあって、急に手に握っても自在に動いてくれる。

ちなみに高級鉛筆というのは上を向くとキリがなく、その面でも「パーフェクト」だと言いたい。何しろ第9代ファーバーカステル伯爵が来日した際は、9本だけ特別制作された非売品が関係者へプレゼントされた。まさにPricelessを地で行っている感がある。

補助軸

さて伯爵コレクションは本体だけども高級鉛筆だけれども、それに一層はくしゃく… 拍車をかけているのが、補助軸だったりする。

何しろ補助軸だけでも30gを超えている。プラチナコーディングで重厚に見える外観だけれども、本当に重いのだ。使い始めたばかりの鉛筆だと、バランスが悪くて使いにくい。

この補助軸の中に、鉛筆削り(シャープナー)が収納されている。初代の伯爵コレクションでは付属していなかったけれども、現在のパーフェクトペンシルは全て鉛筆削りを収納するタイプに仕様変更されている。

もちろん実用性という観点では、30gは落第点だ。特に僕のように握力の弱い者は、長時間に渡ってメモ取りすることが出来ない。しかし半端ない重さが、逆に集中力を生み出してくれるから不思議だ。

普通のパーフェクトペンシルでもアイディア発想に満足する人も多いけれども、僕はこの重さが気に入っている。それで現時点ではUFOや9000番でなく、伯爵コレクションの補助軸を持ち歩いている。

(例外は備忘録メモで十分な子供の塾送迎時くらいかと思う)

使い方

さて肝心な使い方だけれども、実は身も蓋もない使い方をしている。高級鉛筆ファンは激怒するかもしれないけれども、許して貰えると嬉しい。

まず鉛筆が短くなった時に補助軸を使うべきだけれども、僕は鉛筆が長い時から補助軸を装着している。鉛筆部分だけでも高級鉛筆と呼ぶことが出来るけれども、それでは潜在意識が満足しないらしい。

それで当ブログの別記事で紹介しているように、ダイヤモンドヤスリで内部突起を削り落としてしまっている。そのおかげで、冒頭画像のように奥まで鉛筆本体を補助軸に収納することが出来る。

ちなみに一食我慢すれば確保できる金額だけれども、やっぱり伯爵コレクションの鉛筆はダメージが大きい。それに僕の場合、子供が使い残した三菱鉛筆ハイユニが山のように貯まっている。

三菱鉛筆ハイユニだって、堂々たる高級鉛筆だ。それからパーフェクトペンシルUFO軸も100本近く所有している。それで今のところ、カルフォルニア杉の出番がない。

ちなみに国産鉛筆は利用可能と言う者もいれば、利用不可能と言う者もいる。これはタネ明かしすると、上部画像(伯爵コレクション鉛筆で描画)のような構造になっていることに起因する。

例えば三菱鉛筆ハイユニは後端が丸くなっているので、ちょうど内部突起にハマる形になる。だから鉛筆が短くなっていると、グラつきを感じにくいこともあって「利用可能」ということになる。

逆に後端が角張っている鉛筆で、さらに鉛筆自体も長い状態だと、グラついた感じになる。だから「装着不可能」ということになる。補助軸の仕様変更と考える人もいるけれども、それはない。

そんな仕様変更が起こっていたら、伯爵コレクション鉛筆まで仕様変更されていないと説明できない。それに海外でも仕様変更という話は聞いたことがない。

あと僕は補助軸を鉛筆キャップとして利用していないので、鉛筆にテープを巻いて「太さを水増しする」という技も使える。高級鉛筆を使う者には相応しくない真似だけれども、「モッタイないお化け」に取りつかれているのだから仕方ない。

それに実際に使ってみると分かるけれども、いちいち鉛筆を抜いて、それから向きを変えて装着するというのは面倒だ。鉛筆が長いうちはキャップのみとして使えるかもしれないけれども、鉛筆が短くなったら補助軸として使う必要が生じる。

ちなみに伯爵コレクション鉛筆は単独利用でも十分満足できる高級鉛筆だけれども、いつも鉛筆しか使わないのだったら、「このクソ重い補助軸を持ち歩く意味は一体何?」ということになってしまう。

それに「使い始めたばかりの伯爵コレクション鉛筆」+「伯爵コレクション補助軸」だと、妙に長くてかさばってしまう。いつも持ち歩くには、あまり適当な感じではない。

そんな訳で、僕は今の使い方に大満足しているという訳だ。

まとめ

以上がファーバーカステル伯爵コレクションのパーフェクトペンシルという業界屈指の高級鉛筆に関する本体軸や補助軸、さらには使い方の紹介だ。

それにしても補助軸だけで30gを超えているのは本当にスゴい。それを新品状態の鉛筆軸にヤセ我慢して装着して使う人もいるから、文房具の使い方は本当に人それぞれだと思う。

ともかく僕の場合はお嬢様が使い残した三菱ハイユニ高級鉛筆がキッカケで、それに最適化した伯爵コレクションパーフェクトペンシルの使い方になった。今のところはモリモリとアイディアも出て来るし、念のために予備軸が欲しいと思ってしまう程だ。

ちなみに文房具好きというのは大したもので、初代パーフェクトペンシル伯爵コレクションから全て持っている人もいれば、プラチナコーティングはメッキが剥がれるほど使い込んだのでスターリングシルバーに買い替えた人もいる。

たかが筆記具、されど筆記具といったところだろうか。ともかくそれで楽しく物事に取り組めるならば、万事オッケーだと思う今日この頃なのだった。

それでは今回は、この辺で。ではまた。

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記事作成:小野谷静