【筆記具の贈り物】筆記具と資料は長持ちするという話

さて少々早いかとは思ったけれども、義理の父親が所有していたモンブラン万年筆をMikanお嬢様にお渡しした。義父も喜んでくれたかと思う。今日は彼をしのんで、つらつらと書いてみることにしたい。

義父は高校の先生だった。私が初めてお会いした時は、既に定年退職した後だった。

もちろん「お嬢さんと結婚させて下さい」と許可を得るために訪問した訳であるが、初対面からインパクトのある方だった。昭和初期の日本の状況から話が始まり、第二次世界大戦を経て、高度成長期に移るまでに2時間半かかった。

さすがに足が痺れて正座が辛くなって来たところで、義母が助け舟を出して下さった。今にして思えば、懐かしい話である。妙な偶然で、彼と私は同じパーカーの万年筆を持っていた。ただし殆ど使った形跡はないので、たぶんメインの万年筆はモンブランの方だったのだろう。少しだけ使わせて貰った感想は、「なかなかインクの出方が良い」という印象だった。

Mikanお嬢様のモンブラン万年筆を使った落書きのように、彼はM(中字)を好んでいた。私はF(細字)である。その気になればインクのフローを絞り、ペン先を調整して貰えば、おそらく私でも使うことは出来るかとは思う。しかし今の私はPCを使うことが多くなり、万年筆だとペン先が乾いてしまう。それでここ10数年は水性ボールペンと油性ボールペンで暮らして来た。いちおうペリカンのスレーベンM400は持っているが、全く出番がない。だから私が貰って来たのも、もっぱら祖父の形見を娘に渡すためだった。

さすがに学生は昔のようにノート中心で勉強するだろうから、筆記具は重要アイテムになるだろう。私が万年筆を使うようになったのは、中学生の頃だった。義父のモンブランの万年筆は、ご覧の通りで細身である。女子学生には使いやすい太さかと思う。それに相当使いこんだようで、中古品としては5,000円程度が良いところかと思う。遠慮なく使うことが出来るかと思う。

しかし話は変わるが、義父は本当に独自の見識をお持ちの方だった。

私が奥さんと結婚するキッカケになったのは、実は義父のおかげである。私は30歳を過ぎても独身生活を満喫していたが、それを心配したお袋がお見合いを試みるようになった。実家に住ませて貰っていたという弱みもあり、「これならば誰も相手にしないだろう」と、A4で3ページ程度の自己紹介を作成した。それを「気に入った」といって、声をかけて下さったのが義父である。(今にして思えば、お袋さんにしても、よくA4/3ページ分の自己紹介を配ったものだと思う)

実は彼も私も同じ高校の卒業生であり、そこは進学校では良くあることかもしれないが、変人の集まりのようなところだった。それで拒否反応が無かったのかもしれない。

しんみりとした話は、以上である。

ところでブログもそうだが、紙に書いた文章は、捨てない限りは今後も読むことが出来る。

なんでも奥さんは、私が書いた自己紹介資料を、今も捨てずに隠し持っているとのことである。これは想定外の結果で、なんだか自分の心臓を他人に掴まれているような気がする。(おまけに、「人間って、自分の親に似たような人に惹かれて結婚してしまうのよねー」などと、意味深なご発言をなさる)

たとえブログでなくてメモ書きであってもの、”書いたもの” の先々はキチンと考えておいた方が良いかもしれない。