[湘南日記] 父親が英語学習を強要して、自分の親父と似たコースを辿りつつある件

英語の宿題

某月某日、とうとう子供との全面闘争が始まってしまった。その結果、子供は部屋に引き籠ってしまった。子供には大変に気の毒な話である。

母親と子供が緊張関係に陥るのは、良くあることだ。だから基本的に数日すれば解消することが多い。ちなみに母親は勉強のことには口出しをせず、ベイマックス人形で宿題フォローする程度だ。
(子供の席にベイマックスを置いて、さりげなく宿題をやるようにとアピールしていた)

一方で僕はスケジュール帳に毎週コメントを書くことを仰せつかっており、宿題の内容や進捗状況までフォローしている。だから僕が子供に対して英語学習を強要するというのは、我が家にとって大変なことなのであーる。

そもそも事の発端は、英語の課題図書だった。夏休みに続き、冬休みも本を一冊読むことが宿題となったのだ。
今回はThe Polar Expressという童話だった。
なお前回に比べると、文章量は百分の一くらいだろうか。

この本をご存じの方は多いかもしれない。なんと村上春樹が翻訳し、北極号というタイトルで刊行されている。2004年頃に映画化され、トムハンクスも出演している。
本当の英文に取り組むには、初学者にはちょうど良い難易度と分量だ。
童話だからハードボイルド小説みたいな小説や倒置はなく、African English的な言い回しもない。若者言葉みたいな簡略表現もない。
ちょっと想定外な事態はあったけれども、僕でも簡単に英語教師が務まった。

[湘南日記] とある親子の、英語課題を頑張った後に待っていた悲劇

ところで問題が生じたのは、この後だ。
無事に宿題を終えたと喜んでいたのも束の間、今度はゲームをやり出してしまった。
期末試験が終わった後から、彼女はゲームに没頭していた。父ちゃん、君のゲーム時間を大量に生み出すために支援した訳じゃないぞ。

おまけに… 学校から配布された問題集の取組結果が散々だった。
one of …や、some of … といった同タイプ問題を間違え続けている。theが来ると名詞の塊が生まれるのは絶対法則だけれども、そこに動詞を埋め込んでいる。
なんというか父親から見ると、手を抜きまくった取組結果だった。
ともかく「宿題は書き込むことに意義がある」と、スピード重視で散漫な取り組み方をしたように見える。空白な箇所もある。

そして… 最も許せないのが、間違えた箇所を放置していることだ。
電車に乗っていると、英文をせっせと暗記している子供たちを見かける。初めて見る文例ならば、ともかく体に染み込ませるように覚えるのが効果的だ。
適当にやって振り返りもせず、何度も同じ技に敗北するというのは、ゲーマーとしても三流である。
それじゃいつまでたっても、次のステージに行くことが出来ないじゃん。

まあ彼女のために弁護人的な視点からいうと、問題集のレベルが高いから “ヤル気” が出なくて、だからいい加減にやるようになってしまったという可能性もある。
しかしヤル気がないからといって「空白を埋めるだけ」では勉強の効率が良くない。それならば学校問題集は無視して、もっと基本的な問題集に取り組んだ方が良さそうだ。

それにしても… ここら辺が中二病に罹患する年齢層の問題だろうか。
自分のことなのに、まだ先々の展開を読むことができない。
そういえば同級生の子、12月24日のクリスマスケーキを12月28日に食べて、食あたりで寝込む羽目になっていたな。
「若さゆえの過ち(あやまち)」かもしれないけれども、これでは動物と大差ないレベルなんじゃないか?
(いや犬や猫のような動物には失礼なモノ言いかもしれない。そういえば今年はウサギ年か)

という訳で父ちゃん、2023年になってから最初の「ぷっつーんっ!」が突如お越しになって来てしまった。
「感情に任せた言動をするのは良くないですよ」とTVなどで御高名なカウンセラーなどが言っているらしいが、そんなの知ったことではないっ!
自分で自分の面倒を見るレベルに到達していないヤツには、愛の鉄拳制裁あるのみなのだっ!

かくして僕は、いつかは課そうと考えていた “英語例文700選ノック” を開始することにした。
そういえば親父は小学生の僕を、有無を言わさず英語学校という “タイガーマスクの虎の穴” へ放り込んだことがある。
あれは一生もののトラウマとなり、親父のような真似を子供に対してはやらないように心がけていた。しかし気づけば、なんだか同じようなコースを辿りつつあるような気もする。
しょせんは自分の親を手本にしてしまうのだろうか。

もちろんこれは親父とは少しだけ異なるアプローチではある。
僕が学生だった頃は、親の願いにも関わらず、英語は得意科目ではなかった。会社に就職した年に実用英検二級を取得し、それから必死になって実用英検の準一級に合格した。そしてめでたく社費で海外研修することになり、現在の僕という存在のベースが出来上がった。
だから大学受験においては、基本英文700選に取り組んだことは無かった。
画像の基本英文700選は、英語が得意だった弟が購入して使っていたものだ。
(どうしてそれが僕のところにあるのかは、どうしても思い出せない。でもどういう訳か、弟の本だという記憶だけはしっかりと残っている)

なお我が親父は英語に関しては、ひたすらNHKの英語会話を毎朝朗読するだけだった。
親父が朝6時頃になるとお経のようなイントネーションで朗読するので、その真上にある二階の子供部屋で寝ている僕の脳みそに突き刺さって起床していたという塩梅だしかし我が親父は、決して自分で英語試験を受験することは無かった。
子供に英語例文を読み聞かせることも、アドバイスをすることもなかった。

一方で僕は実用英検やTOEICを受験して、自分の実力をチェックする程度はやっていた。弊社の元会長も、65歳を過ぎてTOEIC受験なさっていたとのことだ。
そうやって考えると、弟や僕は少しだけ親父とは違っているのかもしれない。いや、胸の中を探ってみると、「俺は親父とは全く違う!」と力いっぱい正直に叫んでいる自分がいるような気が… しないでもない。
(僕は親父から譲られてYシャツを、今でも着ることができるけれども)

ともかく英雄カエサル(シーザー)ではないけれども、僕はルビコン川を渡ってしまった。匙… ではなくて賽は投げられて、新基本英文700選の唱和が始まってしまった。1/4と1/5の二日間で、例文82まで到達した。

親父の時とは違って、自分自身にも時間や労力といったダメージは大きい。しかし始めてしまったからには、一通りはやってみることが大切だと思っている。
何事も中途半端は良くない。このまま770まで行ってみるつもりだ。

かくして僕は親父と似たような似ていないような英語教育コースを辿り、子供はエラい目に遭っているという次第である。なんでも1月末には英語の宿泊研修があるらしいが、ぜめて少しは楽しく過ごせることを祈るばかりである。

(そういや英検三級という話があった。この基本英文をやっている者が英検三級を受験… 来年あたりは英検二級を目指するのも良いかもしれない。(ここで誰かさんの悲鳴))

しかし、ねえ… ご近所の子は受験シーズンで頑張っていて、大晦日も部屋の電気が灯いていた。年越し蕎麦は食べたとは思うが、うちの子もその半分くらいのヤル気が欲しいところではある。こればかりは本人の決めることなので、どうしようもないけれども。

それでは今回は、この辺で。ではまた。

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記事作成:小野谷静