[湘南日記] 元旦からボールペン注文トラブルに見舞われてしまった父ちゃん

某月某日… というか、1月1日の元旦に事件は発生した。

事の起こりは2022年12月29日のことだった。
たまたまAmazonで調べてものをしていた僕は、ブラックラッカー塗装のボールペンがAmazonマーケットプレイスで提供されていることを知った。
中古品ということもあって、価格は税込み4,000円に設定されている。

うーん、欲しい。
無いと困るというほどではないけれども、ドナルド・トランプ元大統領やジョー・バイデン大統領が大統領が就任式でも使用したボールペンだ。
それに最近は付箋紙にメモ書きするために黒インクを使っている。

さぞや楽しく仕事できるだろう…
それに自称文具ライターとしては、話題のネタになるものは大歓迎だ。
4,000円の投資を回収できるようなエッセイを書くのは大変だろうけど、僕が頑張れば… そうそう自分を信じて…
それに何より、悩んでいる時間が惜しい。
気になって仕事の効率が落ちてしまったら、本末転倒だ。

「…」

脳内一人会議を開催し、熟慮に熟慮を重ねた検討を実施した後、僕は購入ボタンをポチった。
そして仕事を再開… しなかった。

なぜなら販売者に妙な既視感を覚えたからである。
「タルタルさん? もしかして4年前にメタリック外観のメダリストを購入した時も、販売者はタルタルさんじゃないか?」
そんな気がしたので、さっそくAmazonでの購入履歴をチェックしてみた。
「やっぱり…」
間違いなく2018年12月25日に購入したセンチュリー2ボールペンのメダリスト外観モデルは、タルタルさんから購入させて頂いている。
ちなみに価格は3,500円。
新品だとメダリストの方が高価なので、今回の4,000円との価格差は物価上昇や為替変動を考慮したものかもしれない。
僕にとっては妥当な価格に思えた。

「彼のことだから、またコレクションを充実させて出品していないかな?」
そう思ったので、Amazonでタルタルさんの販売者情報ページへアクセスしてみた。
しかし残念ながら、彼が出品している商品の一覧を閲覧することはできなかった。
そしてこのチェック時に、気になることが見つかってしまった。

「肯定的が78パーセント? 随分と低評価になっている。一体どうしたんだ?」
Amazonでは多くのマーケットプレイス出品者が90パーセント以上を達成している。信用できない出品者とは言えないけれども、良好とも言えない。
そこでざっと評価に目を通してみたところ、理由が分かった。
最近は低評価を付けられるケースが増えているのだ。僕が4年前に購入した時期は、全く問題はない。
もしかしたら昨今の新型コロナ禍などの影響により、何か問題を抱えるようになっているのかもしれない。
いやいや、コメントを見ると購入者が問題を抱えているという可能性も捨てきれないようだ。

しかしタルタルさんとは出品者と購入者の関係に過ぎない。
あれこれと尋ねるのもはばかられるし、僕としては少々の不具合は修理してしまう自信がある。
ともかくブラックラッカー塗装のセンチュリー2ボールペンを楽しみに待つことにした。
そしてタルタルさんは迅速に手続きしてくれて、2023年1月1日に「お年玉」として “米国大統領モデル” が到着した。

(楽しみだったので、ついつい日本郵便で配送日のチェックまでやってしまった。12月30日発送だったので、12月31日は配達休止日となり、1月1日に到着したという訳だ)

「…」
しかしワクワクした気持ちで荷物を開けてみた僕は、呆然として言葉を失ってしまった。
たしかにクロスのセンチュリー2というボールペンではある。
しかしこれは油性インク専用のツイスト式ボールペンだ。大統領たちが使っているのはセレクチップという、油性インク、ジェルインク、水性インク、フェルトペンを全て使えるキャップ式ボールペンなのだ。

うーん、これはどのように解釈したら良いだろうか。
彼が何らかの問題を抱えているのだろうか。
それとも流石に三回もお世話になると、一回くらいは出荷品を間違えてしまうということだろうか。
それともAmazonマーケットプレイスで間違えた商品ページで出品してしまい、本当は油性インク専用のボールペンを販売しようと考えていたということだろうか。
ちなみに赤と青のボールペンがセレクチップのセンチュリー2となる。
(わざわざ英国Amazonのマーケットプレイスで購入したスパイダーマンバージョンだ)

クロスの互換芯

ともかく厳しい財政状況を一層悪化させてまで注文したボールペンだ。
元旦から一気に意気消沈である。
「いや、あきらめちゃいかん、何とか活路を見出すんだ!」と自分を鼓舞しようと思っても、油性インク専用… それもクロスのメチャクチャ細長い特殊替芯では、どうにも応用方法が見当たらない。
そもそも油性インク専用のセンチュリー2であれば、既に手元に持っている。
それも到着したマット仕上げの黒塗装ではなく、滑りにくい黒ラッカー塗装だ。

もはや父ちゃん、正月から大ピンチである。
心を落ち着けるためにマンション階段を上り下りしたり、付箋紙にアイディアを書き出して打開策を見出そうと考えてみた。
しかし思いついたのは、幾つかのショボい使用法しかなかった。

  • 改造方法の紹介動画を作りYoutuberデビュー
  • セレクチップのように見せたブログ記事を作成
  • iPhone 14 Pro Max撮影により淡々と商品紹介
  • 後端を改造してキャップ式で使用可に改造

えーっと、えーっと… 家族がバラバラに一家離散しないように、何とか文具ライターとして活路を…
ん、一家離散?
んんん、一家離散?

ここまで来て、一家離散… バラバラに分解… から、セレクチップではクラシックセンチュリーとセンチュリー2の後端部分が同一品であることを思い出した。

だから油性インクのセンチュリーとは全く関係ないけれども、現在抱えている「メダリストが何本もあって区別しにくい」という問題を、後端部分の交換で解決できるということに思い至った。

もともと “大統領モデル” を購入するメリットの一つに、「他のボールペンと区別しやすいから」という理由があった。
それを現在手元にあるボールペンだけで実現できれば、「別に無くても大丈夫になったもんねー」と言うこともできる。
イソップ童話の「すっぱいブドウ」的な自己弁護かもしれないけど、なんとか「父ちゃんショボーン」状態からは回復できそうだ。
それに何本も手元にある廃盤クラシックセンチュリーやメダリストを活用できるのは嬉しい。

こうやって何とか、正月早々の意気消沈トラブルは回避されたのだった。
そしてダメもとでタルタルさんに連絡は入れておいたのだけれども、これも予想外の結果をもたらしてくれた。
昼間は返信がなかったけれども、夜になったら交換連絡を頂くことが出来たのだ。
おかげで僕はこうやってブログ記事を書くことが出来たし、めでたく “大統領モデル” のクロスセンチュリー2ボールペンを入手できるという訳だ。
(まさにこのブログ記事を書いている最中に、連絡を頂くことが出来た)

もはやこれはトラブルというよりも、ラッキーだと言えるのではないだろうか。
まさに「ピンチはチャンス!」というところだ。

そんな訳で僕は油性インク専用のマット仕上げセンチュリー2紹介記事を書きながら、本来届くべきだったセレクチップのブラックラッカー版センチュリー2ローラーボール軸を待つことができるという訳だ。

やっぱり「あきらめたら、そこでゲームセットですよ」というのは、名言なのかもしれない。

それでは今回は、この辺で。ではまた。

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記事作成:小野谷静