三菱鉛筆ジェットストリームをクロスのローラーボール型ボールペンへ装着!

2022年12月31日は、文房具ユーザにとって記念すべき日となるかもしれない。

今まで絶望的に見えたクロスのローラーボール軸ボールペンへ、三菱鉛筆ジェットストリーム替芯を互換芯として装着することに成功した。
それも0.28mm替芯を唯一提供している、つまようじみたいなプラスチック替芯で実現できたのだっ!

今回は成功に至る道筋を、ドキュメンタリーとして紹介させて頂くことにしたい。

クラシックセンチュリー

クロスではローラーボール軸ボールペンのことを、セレクチップモデルと呼んでいる。油性インク、ジェルインク、水性インク、フェルトペンの4種類を選択できるからだ。

クラシックセンチュリーに関しては、特に問題はなかった。油性ボールペン軸と同じくように口金付近のプラスチックを削るだけで済んだ。
実は油性ボールペンのクラシックセンチュリー愛好家は多く、かつて改造ボールペンを販売して欲しいという要望を頂いたこともあった。
(メルカリで改造クラシックセンチュリーを販売している人も存在して、驚いたものだ)

油性ボールペンの場合はペン先の金属をヤスリで削る必要があるため、「改造ボールペン」となる。
一方でローラーボール軸ボールペンは、替芯のプラスチック部分を削るだけで済むので良心が痛まない。
いかにダークサイドに堕ちた父ちゃんとはいえ、ボールペンそのものを改造することには躊躇するところがあるのだ。
(誰だ? 魔改造というのは?)

セレクチップのクラシックセンチュリーで三菱鉛筆ジェットストリームを互換芯にする方法

これならばカッターを持っていれば、誰にでも実現可能だと分かって貰えるだろう。しかし残念ながら、センチュリー2やタウンゼントには通用しなかった。

実際に試してみると分かるけれども、僅かでも互換芯のペン先チップが顔を覗かせることがないのだ。さすがのダースベイダー父ちゃんも、第一次攻防戦は撤退せざるを得なかった。

なおクロスはクロスの純正芯を販売した方が売上/利益を期待できる。そこで三菱鉛筆がジェットストリーム替芯の互換芯を開発したら、商売を邪魔することになりかねない。

ただし昔はのんびりとした時代で、三菱鉛筆も上記のSK-8という互換芯が存在している。普通の油性インクだけれども、「さすがは三菱鉛筆だ」との評判も高い。
大人の関係とは、かくも微妙なのである。

センチュリー2/タウンゼント

さてセンチュリー2のローラーボール軸は、はトランプ元大統領やバイデン大統領が署名などに使用している。そしてタウンゼントはオバマ元大統領が署名に使用していた。

そしてこの原稿を書いているのは2022年12月31日である。今年はめざましい活躍をすることもなく、何かしら成果を上げたいと思う自分がいた。
そこで改めてセンチュリー2へ、三菱鉛筆ジェットストリーム替芯0.28mmを装着してみることに挑戦した。

「馬も四つ足、鹿も四つ足。ならば馬に通れて鹿に通れぬ道理があろうか」… あ、これだと馬鹿となってしまう。
変な比喩はともかく、同じ形になれば装着可能となるハズだ。

そして見た目はソックリなのだから、全体的に少しずつ削ってみれば良かろうと、おそるおそる削り出してみた。
慎重に、慎重に、しかし可能な限りのベストを尽くしてみた。
もちろん一発勝負ではなく、少し削っては装着可能になったのかを試してみる。
時間と根気との勝負である。
しかし苦労は報われた! … 報われたのか?

センチュリー2の互換芯

「…」
想定外の事態である。
透明プラスチック部分が引っ掛かっているのかと思って重点攻略したら、どうやら「やり過ぎ」となってしまったらしい。
必要最小限の加工と工数で最大の成果を上げるのが戦略の基本だ。

今度はインク色のプラスチック部分を重点的に… うーん、なかなか装着可能とはならない。
少し透明プラスチック側を削ってみるか … あらら。

クロスの互換芯

たしかにセンチュリー2でも装着可能ではあるけれども、やはり「やり過ぎ」が生じてしまう。今回は逆装着で太さを試しながら削っていたけれども、それでもダメだった。

クロスの互換芯

ちなみに大英帝国から到着したばかりのスパイダーマン版センチュリー2でも、メダリスト版センチュリー2と同じく装着可能だった。
したがって少なくとも、クロス純正芯と同じ形状には加工できているらしい。

これは最新モデルのタウンゼントで試しても同じだった。

タウンゼントの互換芯

どうやら人間の感覚というのは不思議なもので、並行感覚を出すためには一定距離が必要となるらしい。だからある程度の長さを削り出さないと、ペン先の金属と同じくらいの軸径を実現することができないのだろう。

人間全体というと主語が大き過ぎるかもしれない。ただし少なくとも、僕は上記の通りらしい。

まとめ

以上の通りで、本来は必要のない部分まで削り出してしまったものの、無事にローラーボール軸のセンチュリー2やタウンゼントへの三菱鉛筆ジェットストリーム替芯の装着に成功した。

これでクロスのローラーボール軸への三菱鉛筆ジェットストリーム… 特に0.28mm替芯を互換芯化することに成功した訳で、クロス愛好家への影響は大きいかと思う。

なお実際には3本の加工に挑戦し、三本とも「互換芯としては問題なく利用可能。ただし本来は必要のない部分まで削り出してしまった」という結果である。

「ムダに美人」という表現を耳にしたことがあるけれども、自分的にはまさにそういった心境である。なお僕が3回全て成功したのだから、別に難易度の高い加工作業ではない。

あとは「やるか、やらないか」だけの話に帰着するだろう。興味のある方は、ぜひ試してみることをオススメしたい。
(ボールペン軸本体には何もしないので、別に財布や心臓が痛む話でもないし)

それでは今回は、この辺で。ではまた。

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記事作成:小野谷静