鉛筆

普通の鉛筆と高級鉛筆の違い

パーフェクトペンシルの種類

鉛筆の芯、木軸、そして両者の接着方法の3つが、普通の鉛筆と高級鉛筆の相違点である。当たり前と言えば当たり前だ。

したがって製造原価から見ると、数十円から数百円の間となる。数万円という鉛筆が存在するのは、第9代ファーバーカステル伯爵の来日記念で9本だけ製造したとか、鉛筆の塗装が伝統工芸の漆塗りだといった特殊性になる。

大量生産すれば製造原価は下がるので、実は数十円の鉛筆も数百円の鉛筆も使い心地は大して変わらない。塗装の全くない状態で比較して、「こちらが高級鉛筆」とか「こちらが普通の鉛筆」と区別できる者は存在しない。

それではどうして数十円と数百円の価格差が生じるかというと、接着方法に代表される工程管理が大きい。今回はこのあたりを事情を説明する。

鉛筆の芯

材料費でいうと、一番大きく影響するのが芯になる。材料が均質に混合されているのが高級鉛筆だと解説するサイトが存在するけれども、その説明は適切ではない。芯となる材料を拡販する機器は、どれも似たり寄ったりなのだ。

品質検査という概念が普及してしまったので、どこでも同じようなことやっている。たしかに高級鉛筆は品質検査だけでなくて品質管理にもコストを割いており、その分だけ割高にはなる。ただしそれでは桁違いの差は発生しない。

芯だけを購入する場合でも価格が相当異なっているのは、やはり含有材質となる。たとえば三菱鉛筆では「折れずに滑らかに書ける芯」として、ダイヤモンドの粉末(ナノダイヤ)を混ぜている製品も存在する。

またファーバーカステルなどでは紙への圧着を重視しており、ファーバーカステル9000番では「カリカリ」と引っかかるような書き心地が評判となっている。メーカーによると100年前と殆ど変わっていないとのことだが、ここら辺は各社が研究開発している。

以上のような理由により、芯だけを購入する場合でも価格が相当異なるということになる。これはシャープペンシルの替え芯価格を見れば一目瞭然である。

(もちろん同じ材料成分であって、少しでも微粒子状にすると同時に、均質化を目指すことは重要である。このために高級鉛筆では微粒子にする工法も進化している。三菱鉛筆の “スマッジプルーフ製法” なども興味深い。地味だけれども、研究開発は進んでいるのだ)

木軸

普通の鉛筆でも高級鉛筆でも、それほどの差異が生じないのは木軸となる。そうは言ってもファーバーカステルのように、エボニーを木軸にするような真似をするメーカーも存在する。こういった時は例外的に高価格となる。

高級鉛筆といっても、勉強や仕事使うので大量消費が前提となる。したがって現在の鉛筆は問屋制家内工業ではなく、工場で機器を導入し、生産ラインを形成した製造となる。

それほど大量に生産するので、必然的にエボニーのような高級材は利用できない。三菱のユニだろうがハイユニだろうが一定品質を確保した樹木を採用しているので、手触りで識別することは困難である。

接着方法

さて芯の材料や木軸で概況が分かって来たように、鉛筆というのは「どれでも安心かつ安定して使える」という製造方法や製造管理が重要となる。

この「どれでも安心かつ安定して使える」に大きく寄与するのが、芯と木軸を接着させるといった製造方法になる。鉛筆を運搬したり削ったりする時の衝撃が、接着することによって緩和される。

50年前の鉛筆を使ったことがある者ならばご理解頂けると思うが、当時の鉛筆は芯折れが多発していた。それが2021年現在では、高級鉛筆では全く生じなくなっている。

その理由が「芯と木軸の接着」に代表される製造技法である。これは実際に「普通の鉛筆」と「高級鉛筆」の芯だけを取り出す作業に挑戦すると体感できる。

何しろ普通の鉛筆は芯が接着されていないので、簡単に芯だけ取り出すことが出来る。芯と木軸は容易に分割できる。

一方で三菱鉛筆ハイユニなどは、木軸の破片が芯に貼りついているので、芯と木軸の分離は困難だ。芯から木軸を剥がすという説明が適切だろう。

百聞は一見に如かず。ぜひご自分で試してみることをおススメしたい。

まとめ

以上の通りで、普通の鉛筆と高級鉛筆の違いは、芯、材質、両者の接着方法に代表される製造方法と製造管理となる。大量生産とはいえ、特に接着作業のような工程は材料費も機器も必要となる。

また相応の接着時間が必要となるため、その間は保管が必要となる。だから同じメーカーの鉛筆でも、普通の鉛筆と高級鉛筆では桁違いの価格となる。

別に芯材料の混ぜ方や木材の違いといった僅かな相違点で価格差が生じている訳でないのだ。ただし書き心地だけを比較しても大差ないため、「どうして高級鉛筆って高価なのだろうか?」という疑問を持つ者が多い。(僕もその一人だった)

つまり高級鉛筆は書いた後の紙面の状態や、鉛筆の芯が急に折れることを心配する必要のない「どれでも安心かつ安定して使える」といった品質面の差異が大きい。

ただしこれらは言われないと、気が付ない。使用上の問題とならないことも多い。だから普通の鉛筆も、高級鉛筆も両方が仲良く販売されている訳だ。

月並みだけれども、「自分が使っていて一番良いと感じるものを使えば良い」のである。ただし普通の鉛筆は折れないための管理も大切で、小学生向けには三菱ハイユニが結構便利だったりする。

それでは今回は、この辺で。ではまた。

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記事作成:小野谷静