高級鉛筆を使う理由は、節約心と酔狂

高級鉛筆を使う人々がいる… いちおう僕も使っている。しかし基本的に、僕は彼らとは違う。わざわざ鉛筆を使っているのは、単に使い残された鉛筆を無駄にしたくない節約心だ。それで酔狂にも、パーフェクトペンシルを利用している。

あなたが高級鉛筆に興味を持った人ならば、それがどれだけ実用的でニア趣味的な世界であるかを解説させて頂きたいと思う。僕にしてもストックした鉛筆を全て消費したら、三菱鉛筆ジェットストリーム0.28mm低粘度ボールペン利用者に戻るつもりだ。

(この調子だと、生きている間に鉛筆を使いきれるか自信ないけれども)

公的な書類

まず当然ながら、鉛筆は公的な書類に利用できない。何しろ消しゴムで消せてしまうことが特長の筆記具だ。その点を買われて、万年筆(インクペン)に次ぐ「第二の筆記具」として登場した。

誰もが知っているように、ちょっとでも重要な書類に鉛筆を使うことは出来ない。だから日頃から一本だけ持ち歩く筆記具としては、油性ボールペンあたりがベストだ。僕もモンブランのマイスターシュテュック(高級筆記具!)を、かれこれ20年近くも持ち歩いている。

ボールペンは重宝する筆記具で、婚姻届けや出産届などで活躍する。僕の場合は逆方向だけれども、親父の死亡届で活躍した。(こういう厳粛な手続きに、なぜか事務用ボールペンを使う気にはなれない)

そういえば失敗談としては、先日のマンション防犯説明会がある。あの時は夏だったのでTシャツに半パンという装いでオンライン会議に出席し、それが終わってエントランスに集合した。

ちょっと急ぐ必要があったので、そのままの格好で行った。奥さんからは受け取り物があるので、判子を持っていくようにとの指示だった。

そしてエントランスへ行ったら、渡されたのは受け取り確認書類だった。マンション名、部屋番号、代表者名を記入してからハンコを押す形式になっていた。

そりゃワイシャツ姿の時には、いつもモンブランのボールペンをワイシャツ胸ポケットに装着していますよ… というか、既に次に着る予定のワイシャツに刺してある。ハンコだけというので、メモ用にファーバーカステルのパーフェクトペンシルとハンコしか持って来なかったよ…

これがいつものスターウォーカー油性ボールペンだったら、三菱鉛筆ジェットストリーム0.28mm低粘度インクを装着している。最近ではジェットストリームも市役所で署名用に使えるから、ちょっと細いけれども0.28mmジェットストリームだったらOKだっただろう。

結局は厚顔無恥にも、そしらぬ顔をしてパーフェクトペンシルでマンション名、部屋番号、代表者名を記入してしまった。あとでバレたら管理会社の担当者が困るかもしれないけれども、いちおうハンコは押してある。マズかったら消しゴムで消して、ボールペンで書き直してくれるかもしれない。

そんな訳で高級鉛筆を持ち歩く場合、どうしても署名用のボールペンも持ち歩く必要がある。どこでも市役所のように、署名用ボールペンを備え付けてくれている訳ではないのだ。

(いや管理会社の名誉のために言っておくと、担当者は署名用の予備ボールペンも持参していた。しかしスタッフ不足で元マンション理事長の僕が臨時スタッフと化したように、ボールペンを借りているような暇はなかったのだ。現場では、よくあることだ)

手が汚れる

輪がお嬢様が使い残した三菱ハイユニは、素晴らしい品質の高級鉛筆だ。縦書きの原稿用紙に文字を書き込んでも、ほとんど手が汚れることがない。僕が子供の頃に使っていた鉛筆とは別製品であると言っても差し支え無さそうだ。素晴らしい。

しかし三菱ハイユニにしても、鉛筆芯の一部が紙面に付着して「書く」という基本原理は変わらない。全く汚れないということはない。おまけに鉛筆というのは、削る作業がある。削りカスを適切に処理できなければ、悲劇が発生する。

もちろん万年筆で吸引タイプにインク補充をする場合は、手が汚れることがある。しかし大人というのは不便なもので、手が汚れても直ちに手洗い場へ行ける訳ではない。

だから重要会議などに出席している場合、会議場所も会議場所だし、鉛筆を削っているような暇もない。こういう場所では、ボールペンが最も望ましいということになる。

もちろんボールペンは芯を出しっ放しにしておくと、ワイシャツの胸ポケットが汚れるというマイナス面もある。しかし会社員としてみれば、ワイシャツは交換すれば良い。一方で部屋を汚したり顰蹙を買ったら、ビジネス的にはマイナスだ。

そういう訳で一長一短的な要素はあるものの、鉛筆というのは手洗い場を確保することが重要な筆記具だったりする。

渋いデザインばかり

別に三菱鉛筆ハイユニに限った話ではないけれども、鉛筆のデザインは「渋い」。明るいオレンジで気分転換になるのは、ファーバーカステルのUFO鉛筆くらいだ。

まあUFO鉛筆にしても「ど派手!」という程ではない。これは少量加工の容易なシャープペンシルならばともかく、学生などが利用する鉛筆には、ド派手さを持たせない方が望ましいからだ。それで基本的に、渋いデザインの鉛筆ばかりとなる。

こういう筆記具を使っていて、心がウキウキして来ることは多くないだろう。それで最近は無地の鉛筆とか、「大人の鉛筆」が人気になっている。

残念ながら鉛筆ホルダーにしても、三菱鉛筆ハイユニと同じカラーは人気無かったりするのである。

「消せる」のは良い

さてマイナス面ばかり目立つ鉛筆だけれども、消しゴムで「消せる」というのは圧倒的利点だ。テストの時などに役立つ。

それから鉛筆だけれども、「消えない」という利点もある。例えば万年筆だと、水に濡れるとアウトだ。

実は先日も、トイレにモレスキンのノートを落としてしまった。しかし鉛筆だったので判読可能だった。三菱ジェットストリームのような油性ボールペンでも大丈夫だけれども、万年筆や水性ボールペンでは厳しいところだ。

ただし冷静に考えると、鉛筆は「消せる」という特性を実現するために、多大な犠牲を払っている。その端的な例が、「コスト」だったりする。

高級鉛筆を使うのが、趣味人として風流だという主張は否定しない。しかし高級鉛筆…大量生産される三菱鉛筆のハイユニであっても、ヨドバシカメラで一ダースあたり税込み1,530円(2021年11月21日)だった。

これ、三菱鉛筆ジェットストリーム0.28mm低粘度インクだと、鉛筆芯みたいなタイプを何本も購入できてしまう。もちろん0.28mmだから高額だけれども、その分だけ書き込み可能距離も長い。

こうやって考えると、鉛筆というのは百均で販売されているものだって贅沢品だったりする。地球にやさしくもない。

(そういや消せるといったけど、消せるのは答案の間違った箇所だけである。忌まわしい記憶自体は、なかなか消せない…)

まとめ

以上の通りで、地球にやさしくない上にコスパも悪く、いろいろと制約条件の多い高級鉛筆は「趣味の一品」となる。だからお嬢様の使い残し品が大掃除で大量発掘されていなければ、僕が鉛筆ユーザーになっていたことも無かっただろう。

幼児から利用可能な鉛筆だけれども、大人の世界では使われることがないのも、もっともな話だと言えるだろう。あくまでもすべての小学生が授業で使う道具、それが鉛筆なのだ。(それ以上でも、それ以下でもない)

もちろん鉛筆画家とか、下絵に使えるとか、そういった用途は存在する。しかしそういったニーズは限定されている。

それでは今回は、この辺で。ではまた。

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記事作成:小野谷静