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マンション駐輪場問題の展望

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マンションで絶対に発生するのが、「駐輪場問題」です。

これをどのように解決するかで、そのマンションの管理状況が分かります。なお解決策としては、シェアリング以外は存在しません。

そしてマズいことに、昨今の外出自粛問題や電気自動車によって深刻化する可能性があります。

本記事はまず初心者向けに、ポイントを紹介させて頂くことにします。おそらく延々と続くことになるでしょう。

(マンションの問題って不動産業界にとっては都合悪いなど事情もあって、あんまり情報が転がっていないんですよね)

おさらい:発生原因

まず賃貸マンションでも分譲マンションでも、戸数の2.5倍を超える駐輪区画を持つマンションを見たことはありません。東京都は都の方針によって戸数以上の駐輪区画を確保するように指導されているせいか、ちょうど戸数分の駐輪区画しかないマンションも結構見かけます。

土地不足をカバーするためにタワー型マンションなどが考案された訳であって、そもそも駐輪区画に割り当てる土地を確保するのは困難です。私の住むマンションも緑地の一部を削ることを考えましたけれども、反対意見が出て検討を進めることは出来ませんでした。

ワンルームマンションでない限り、主に住民は家族で生活することになる訳です。少なくとも一人以上が住まないと、空き部屋になってしまいます。だからマンションが竣工してから5年後くらいから、駐輪場問題が健在化します。マンション管理会社のベテランマネージャやマンション理事長たちと意見交換しましたけれども、経験則的にピークは10年目くらいです。

だから各戸の希望を完全に叶えようとしたら、戸数の2.5倍を超える駐輪区画があっても不足する時期が発生します。昔は廊下に自転車が置かれて消防署から行政を受けるか、マンション資産価値を維持するために帝政によって忍耐を強いるかの二択しかありませんでした。

で、10年目のピーク時を超えると、マンション住民の年齢上昇によって必要区画が減少して行きます。マンション管理会社のベテランマネージャによると15年目を過ぎると不足解消するそうです。

そして今度は、マンション住民の高齢化対策に頭を悩まさせることになります。そうでなくても中古マンションというのは、子供が大きくなると住みにくくなります。だから若い人たちが夢を持って新築マンションを購入し、手狭になってマンションを去って行きます。そして高齢者が代わりにマンションを購入する訳です。

だからテレビで紹介されるような優良マンションやビンテージマンションは、若年層が空き部屋を購入するように各種施策を催します。ハロウィンやクリスマスパーティーを開催し、新入居者向けガイドブックを作成したりする訳です。

以上が恐ろしくざっくりとした説明ですけれども、マンションの駐輪場不足の発生原因です。

ちなみにマンション理事会メンバーになると分かりますけれども、ごく限定された家庭が3区画も4区画も利用を希望します。戸数と同じくらいしか駐輪区画のないマンションだと、駐輪場不足を時間が解決してくれる時期が遅れる傾向にあります。

解決策:シェアリング

実はこの駐輪場不足の問題は、某マンション理事長が考案したシェアリング制度により解決することが可能です。

マンションとして自転車を購入し、管理人室で貸出/返却を管理するのです。皆で購入した財産を共同利用するので、「レンタル」ではなくて「シェアリング」となります。

最近の中小規模の新築マンションだと管理人室の維持も難しかったりするので、宅配ロッカー業者が管理システムを提供しているマンションも存在します。

どう頑張っても駐輪区画は希望数だけ確保できませんから、皆で仲良く共用しようという発想です。エントランスだって皆の財産だし、自転車が皆の財産だって構わないという訳です。

少なくとも戸数分だけは駐輪区画は存在する訳です。そして駐輪区画を必要としない住戸も若干は存在します。その空いた区画を共同管理して、自転車のシェアリングを実施する訳です。

このシェアサイクル制度が普及したおかげで、ほぼ全てのマンションの駐輪場不足は理論的に解決可能となりました。

ただし逆にいうと、今どき駐輪場不足の問題を抱えているマンションというのは、適切に管理されていないマンションということになる訳です。

昨今の状況

さて理論的には解決可能となった駐輪場問題ですが、実は中小規模マンションでは再発しているのが実態です。

課題1:宅配ボックス不足

その理由は、「宅配便を使う人が多くなって宅配ボックスをシェアリング用に割り当てられない」という事態に陥ってしまったからです。

たとえば私の住んでいるマンションは宅配ボックスNo.2がシェアリング用に利用することが出来ます。

ただし業者に確認したところでは、2019年の時点でも「2週間に一回は満杯状態が発生」していたとのことです。ゴルフバッグやクリーニングの受け渡しでも宅配ロッカーを利用するので、稼働率が上がっていたのです。

だからちょうど築10年目くらいに宅配ボックスを利用した自転車シェアリングを検討しましたけれども、反対意見が出されて断念しました。「ごく一部の住民の問題なのだから、宅配ボックスを使うのは妥当ではない」とのことです。正論です。

なお「宅配ボックスがダメならば、台帳方式で掲示板に掛ける等を考えれば良いじゃない」と考えましたけど、今後は別な方面から異論が出ました。

  • 理事会でシェアリング管理するマンパワーはない
  • 理事会でない組織に共有施設は貸出できない

たしかにこれも正論です。と、いう訳で、中小規模のマンションでは宅配ボックス不足が「思わぬ落とし穴」と化しているのです。

課題2:自転車の大型化

昨今の健康ブームのせいか、実は自転車が大型化しています。車輪サイズは変わらないものの、籠が大型化しているのです。電動自転車も普及していますし、高齢者などにも便利な三輪車型の自転車も普及しています。

だから2010年頃の新築マンション駐輪区画スペースよりも、2020年頃の新築マンション駐輪区画スペースの方が大きくなっています。信じられない人がいたら、駐輪設備メーカーのマニュアルを確認してみると良いでしょう。

おまけに大型化すれば、出し入れも大変になります。誰もが敬遠する二段式駐輪ラックも、最低2.5mの高さが必要です。普通は雨よけに天井があるので、取り換え可能な物置式ならば設備交換する必要があります。

さらに言うと、こういった設備交換が可能であったとしても、相応に費用が発生します。困っているのは家族数の多い一部世帯に過ぎません。そしてマンションの場合は、一戸一票なので家族数は関係ありません。

そういった訳で、一戸一台以上の利用を希望する家庭には、「我慢して下さい」という提案が大勢を占めることになるのです。

課題3:健康大国ニッポン

喜ばしいことに日本人は長寿命化に伴い、健康も増進しました。昔は自転車乗りから引退していた年齢でも、今では颯爽と自転車に乗っています。だから昔ならば空区画となったところが、空かないという事態になっています。

マンション設計を根本的に見直す必要があるという訳です。また健康とは直接関係しませんけれども、自動車問題も発生しています。

昨今では突発的な自然災害により、駐車場が浸水する事態も起こっています。また米国ではガソリン自動車業界を支えていたトランプ政権が無くなってしまったので、日本にも電気自動車ブームが一気にやって来てています。

こうなると自動車は昔のように、なかなか庶民が気軽に購入できるものでは無くなります。

そういうこともあって、これからは自転車利用が益々オススメとなることでしょう。大気汚染も減るので望ましいことばかりですけれども、中小規模マンションにとっては駐輪場問題の悪化原因となる訳です。

まとめ

以上のように、これからは中小規模マンションでは駐輪場不足の問題が悪化する可能性が高そうです。そしてマンションではベランダに自転車を置くことが、管理規約というか消防法的に禁止されています。

実は私は自宅内に、5台の自転車を保有しています。駐輪場不足でシェアサイクルも不可能な場合には、自宅内保管しか手段が無いからです。

(幸い自転車のエレベータ内持ち込みは、マンションの年次総会でも合意を取り付けることが出来ました)

しかしコンパクトな折り畳み自転車はコストがかかります。やはり理想は、シェアサイクルの実現です。

これに関しては自転車問題で困った家庭の代表者が力を合わせて、ボランティア方式で実現するしか方法は無さそうに見えます。また駐輪区画を他人に貸出したり、営利行為に利用するのは管理規約で禁止されています。

したがって結論としては、誰かが自分の持っている自転車を無償で貸し出すしか解決策はない訳です。そこまでやろうとする気概のある人は滅多にいないでしょうから、これからも中小規模マンションの駐輪場問題は続きそうです。

それでは今回は、この辺で。ではまた。

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Sei Yotsuba