【まとめ】ファーバーカステルをジェットストリームやパワタン替え芯で楽しむ

さて今回は、ファーバーカステルの油性ボールペンを三菱ジェットストリームやパワータンク替え芯(リフィル)で利用する方法を紹介したい。

レベル1:互換リフィル

実はファーバーカステルでジェットストリームを使いたい場合、現在では基本的に互換アダプタや自作アダプタを使う必要はない。

なぜならパーカー互換芯(リフィル)のジェットストリーム替え芯が、暫く前から製造/販売開始されている。黒(ブラック)の0.38mm、0.5mm、または0.7mmを使いたい人は、これを購入すれば万事解決なのだ。

本当にこのタンク式の替え芯は素晴らしい。

低粘度インクのジェットストリームは、下記記事で実例を紹介したように、モレスキン手帳との相性が良くない。

https://www.note1005.com/?p=511

と、いうか、どうやらモレスキン手帳に使われているFSC認証中性紙に耐えられるインクの条件が厳しいようだ。4c芯やプラスチック芯はインクフローの安定性が今一つな時があり、そのような時には文字が掠れて書けなくなったりするのだ。

なおジェットストリームの名誉のために書いておくと、ZEBRAの4c芯(0.7mm)でも同様に、”文字の掠れ” が発生した。一方で万年筆だとデュポンのデフィ替え芯のように、今度はインクが出過ぎて裏写りしてしまう。

しかしタンク式の場合、大容量のためなのか成分が違うからなのか知らないけれども、インクフローが安定している。使っていると実感できるけれども、書き始めの一瞬だけ文字が太くなったりするようなことがない。もちろんモレスキン手帳であっても、ヒツジ執事がAmazon Japanから購入した0.5mmと0.7mmのタンク芯(リフィル)では、文字の掠れは全く発生しなかった。
よりも、圧倒的に有利な点である。パーカー互換なので、豊富な替え芯が選択可能なのだ。そしてその中には、ジェットストリームまで存在する。

したがってこれから高級ボールペンを購入しようするジェットストリーム愛用者がいたら、現在の私はパーカー互換芯を利用可能なボールペンの購入を強くオススメしている。

レベル2:互換アダプタ

さてファーバーカステルがパーカー互換芯を採用しているということは、4c芯を互換アダプタ(替え芯アダプタ)を利用できることを意味する。

前述のタンク式の替え芯があるけれども、私はこのアダプタも持っている。なぜならタンク式の替え芯は、黒(ブラック)しか販売されていないのだ。4c芯ならば、青(ブルー)や赤(レッド)も販売されている。これらを利用することが出来るのだ。

なおボールペンというのは各製品によって微妙に仕様が異なり、「もう少しだけ芯を出したい」と思うことがある。例えば前述のパーカー互換替え芯のタンク式ジェットストリームの使用感だけれども、もう0.5mmだけ芯が突出してくれると嬉しかったりする。

そういう時に替え芯アダプタPK-01は、後ろの部分を画像のように取り外し、適当な物体を詰め込んで微調整することが出来る。

ちなみにネジと同じように回して着脱するのだけれども、回す向きはネジと逆になっている。つまり外したい時は時計方向に回転させ、装着したい時は反時計方向に回すのだ。

これはちょっとしたTIPSなので、覚えておいて損はないかと思う。

そういえば4c芯やプラスチック芯はパーカー互換芯と微妙にペン先の太さが異なるようで、使っているとカタカタと音がすることが多い。このような時には、セロテープの切れ端や透明マニキュアで対策する必要がある。残念ながらタンク式のジェットストリーム芯もペン先の出方が僅かに及ばないため、ヒツジ執事は透明マニキュアを塗って使用している。

レベル3:自作アダプタ

では互換アダプタ(替え芯アダプタ)を入手すれば万事解決するかというと、そのようなこともない。

残念ながらジェットストリームでは、そもそも緑色の芯が存在しないのだ。したがってどうしても緑色の芯を使いたい場合は、ZEBRAの4c芯を使わなければならない。

また4c芯やタンク式のジェットストリームにはペン先が1.0mmの芯が存在しない。したがって1.0mmの芯を使いたい場合は、自分でアダプタを製作する必要がある。

“製作” というと、少々大袈裟過ぎるかもしれない。上の画像のように、付箋紙を丸めて簡単に作ることも出来る。

ただし1つだけ注意すべき点が存在する。プラスチック芯の削り出しである。

これは冒頭画像のように何本もボディ(本体)を購入して分かったのだけれども、従来の伯爵コレクション(クラッシックコレクション)、伯爵コレクションのイントゥイション・シリーズ、そしてギロシェで内部構造が微妙に異なっている。

そのためにプラスチック芯のプラスチック部分が邪魔となって、ボディ(軸)本体からペン先を出せないことがある。その場合には、プラスチック部分をカッターナイフ等で削る必要がある。

もちろん次の “レベル4” のように、ボディ(軸)の軸穴部分を棒ヤスリで削ってしまうという手段もある。しかしこれをやると、クロスと違ってペン先がカタカタと音を立てやすくなる。それに何より、さすがにファーバーカステルは、クロスよりもワンランクは価格が高い。

数十万円のボールペンと比べてしまうと誤差の範囲だけれども、さすがに少し腰が引けてしまう。それに1.0mmとか緑は、あまり利用しない。だから芯の交換回数も少ない。

そういう訳でファーバーカステルに関しては、出来るだけ軸穴を拡張する “改造” はやらないことにしている。

そうそう、それともう一つ注意点がある。

ファーバーカステルは、ペン先部分に独特な形状のスプリング(バネ)を使用している。このため三菱パワータンクにしても、この純正スプリングを交換する必要がある。ヒツジ執事の場合は、100円程度のノック式ボールペンに付属していたスプリングで代用している。

この純正スプリングは絶妙な大きさで、プラスチック芯や三菱パワータンクを通すことが出来ないのだ。通せるのは、パーカー互換芯や4c芯に限定されている。(ちなみに軸穴の大きさは、クロスやモンブランと比べて最も大きい。だからカタカタと音を立てやすいとも考えられる)

なおどうして三菱パワータンクに拘るかというと、加圧タンク式の替え芯(リフィル)であるというのが答えとなる。

下記からリンクされているAmazonの評価レビューにもコメントが掲載されているけれども、加圧式タンク芯の三菱パワータンクは仰向けの姿勢でも書くことが出来る。無重力の宇宙空間でも書くことが可能だ。三菱鉛筆さんの販売マニュアルにも記述されている。

これは普通のボールペンはもちろん、ジェットストリームであっても出来ない芸当である。

またこの加圧タンク式のおかげなのか、過酷な状況の紙に書くことが出来る。モレスキン手帳では文字掠れが発生したことはない。評価レビューには、 “濡れたチリ紙” に書くことが出来たというコメントさえ存在する。

そういえば今まで、文字掠れというものに遭遇したことがない。加圧式ゆえに、インクが圧力で押し出されるのが理由だからだろうか。

ともかく細かい理由は知らないけれども、三菱パワータンクはモンブラン時代から使用している。それで困った経験をしたことが全くない。実に頼りがいのある相棒である。

なお実際に使ってみようと思った人は、上記のリンクような “金属芯”、すなわちSJP-7(0.7mm)かSJP-10(1.0mm)を利用する必要がある。残念ながら、プラスチック芯タイプの三菱パワータンクは使えないので、要注意である。

ちなみに私の場合、数年前まで油性ボールペンでは標準的な1.0mm (SJP-10) を使っていた。しかし最近は0.7mm (SJP-7) に切り替わっている。加圧式タンクのおかげなのか、モンブランのマイスター・シュテュックではSJP-7か純正芯のF(細字)しか使ったことが無いような気もする。

これが低粘度インクの三菱ジェットストリームだと、最も気に入っている書き味は0.5mmとなる。

ただしこれだと、どうもモレスキン手帳の場合には見栄えがしない。それからファーバーカステルの伯爵コレクションだと万年筆のように傾けて書きたくなるのだけれども、さすがに0.5mmだと文字が掠れてくる。かといって、0.7mmだとペン先が滑り過ぎて使いにくい。困ったものである。

そういう訳で父親や子供に評判なのでジェットストリームを試してみたけれども、メインで利用するブラック(黒)のボールペンは、三菱パワータンクSJP-7で行くことに決定した。

レベル4:本体の改造(不要)

イントゥイションの時は改造せざるを得なかったけれども、基本的にファーバーカステルには改造作業が必要ない。普通の伯爵コレクション(クラッシックコレクション)や、ギロシェではスプリング交換だけでプラスチック芯を利用できている。

それに何しろ、本体(軸)の軸穴が、クロスやモンブランよりも大きいのだ。ペン先のスプリング(バネ)は簡単に取り外せるので、無くさないようにだけ気を付けていれば良い。

ブラック(黒)は0.37mm、0.5mm、0.7mmのジェットストリームが利用できるし、4c芯でも互換アダプタ(替え芯アダプタ)のPK-01が存在する。

強いて言えば互換リフィルとは関係なく、イントゥイションやギロシェの場合には、ペン先を持つ習慣の人にはバランスが今一つかもしれないという点だろうか。

しかしこのバランスの問題も、下記の画像のような金属片を埋め込むことによって、改善することが出来る。

それでも今一つだと感じる場合は、自作アダプタの先端部分を金属片にしたものを製作すれば良い。実はこの材料は、下記画像のように2つ穴パンチのファースナーだったりする。

加工するのに特別な道具も必要ない。私は先の丸型金属片を、普通のハサミで切り、ラジオペンチで曲げて作ってしまった。実に簡単だ。

今回の記事は、おおよそ以上だ。

長々と書いてしまったけれども、おそらく大半の人はタンク式の “パーカー互換ジェットストリーム替え芯” に大満足できるだろうと思う。

私としては自分が現在使っている伯爵コレクションがイチオシだけれども、いきなり購入するのは勇気が必要かもしれない。そういう人はパーカー製ボールペンで試してみたら如何だろうか。まずは実際に自分で使い比べてみるのが、一番だと思う。

[box03 title=”ペンは自動車より安し”] [/box03]

(付録) 自作アダプタの作り方

ヒツジ執事の場合、正方形の大型付箋紙を2枚で自作アダプタを製作している。

ご覧のように一枚目はそのまま巻き付け、2枚目は尻尾の部分を1cm程度切っている。これはファーバーカステルの場合、後部が独特なので互換アダプタや替え芯のような後端を用意するか、もしくは後部を細目にする必要があるためだ。

ちなみにヒツジ執事は替え芯と同じ長さに調整するのが面倒なので、少し長めに製作している。そして替え芯と並べて、後端を切って “長さ調整” している。

ただし替え芯と同一にすると、実際に装着した時に満足した長さに足りないことがある。だから少しだけ長めに切り、実際に装着しながら調整することが多い。

それからペン先のプラスチック部分を削る作業だけれども、金属部分と同じ太さになるようにカッターナイフで削っている。ただしこの手の作業は、金属側から削っていた方が楽だけれども、ケガのリスクが増大する。

もちろんご存知だとは思うけれども、くれぐれもケガには気を付けて頂けると幸いである。